藤まつり投句会
2025年4月24日~5月5日の笹屋ホテル「藤まつり」期間中にご来館頂きましたお客様を対象に
投句会を実施いたしました。
俳句部門、短歌部門より入選作品を発表します。
入選の皆様、おめでとうございます。
兼題は「藤」「4月の季語」「5月の季語」のいずれか
宮坂静生 選
俳句部門
特選
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父卒寿藤の花咲く笹の宿大久保 和美 様
<評>
お父さんの九十歳のお祝いに、折から藤の花が咲き競う「笹の宿」、笹屋ホテルに泊まった。事実をたんたんと叙した句であるが風格がある。藤の花のむらさき、宿が笹の宿。世の中に拡がる俗っぽさがない。落ち着いた静けさに心洗われる思いが伝わる。
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はつ恋のあなたのような藤の花小舩 亜彩子 様
<評>
初々しい。藤の花の変わらない純情な美しさを初恋に喩えている。感性が清々しいばかりでなく、知性の輝きが感じられる。珍しい句である。作者には初恋のそんな人がいた。あるいは只今の伴侶であろうか。
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藤の花今年も会へて酒うまし早川 様
<評>
盛りの藤の花を肴に好きな酒を堪能する。今年も来た。齢をとると、一年一年が貴重で、同じ藤の花も格別に輝いて見える。来年も来ることができるだろうか。思えば只今の幸せをひたすら願うのである。
秀逸
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湯けむりに我が子と遊ぶ藤の花武藤 孔史 様
<評>
楽しい句である。露天風呂での光景が目に見える。花房を垂らす藤の花に気持ちが弾み、微風になびく湯けむりもここちいい。
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藤棚のそよぐ花房美しき内野 陽堂 様
<評>
率直な句である。目に映った藤棚から垂れる花房を捉え、表現したままであるが、この自然さが藤の花にはふさわしい。
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藤棚の香りに躍る旅心黒岩 美香 様
<評>
見事な句である。いい季節に旅先で美しい藤の花房が放つ香にうっとりする。旅がますます好きになった心弾む句。
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そよ風に藤のさわさわお出迎え池永 勲 様
<評>
おもしろい冒険作である。門前の藤の花房が微風にさわさわと戦いで「いらっしゃい」と出迎えてくれた。ああうれしい。
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藤かおり心安らぐ笹屋かな青竜 様
<評>
笹屋ホテルを素直にいい宿ですねと讃えた句。藤がいい香りを放ち、どこもいい、気持ちがゆったり。「笹屋」の名も優しい。
短歌部門
特選
秀逸
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藤棚の下の写真を撮ったよね今年も皆の笑顔がうれし山口 久美子 様
<評>
楽しい。宿の藤棚の下で記念写真を撮った思い出。あの時のみんなの笑顔が最高。よかったわ。思えばなんともうれしい。今年もそんなことができるかしら。
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花藤よたおやかに咲けいつの世も平和を希う宿の夕餉に高木 真織 様
<評>
藤の花賛歌である。藤の花からの感じは知的で平和。桜のようにわっと感性に訴える花時が終わって、盛んな季節を迎える前の僅かな静けさに花房を垂れる藤の花。美味しい夕餉を愉しみながら、「平和」を思う。永遠の平和を。