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里を見守り、守られる 長野市鬼無里「高橋のしだれ桜」

掲載日/2014年5月
長野市鬼無里「高橋のしだれ桜」

 南北に広い信州は標高差もあって4月の終わりでもまだ桜が楽しめる場所があります。北信州にある古木のしだれ桜を楽しむ旅行者も多いのではないでしょうか。

 鬼女紅葉(もみじ)伝説の舞台、長野市鬼無里にある「高橋のしだれ桜」は長野市の指定天然記念物になっています。桜の木は道路沿いにあり、何度か通ったことはありますが見頃に出会えるのは今回が初めてです。長野市から国道406号線で鬼無里に入り、県道36号線で戸隠方面に向かいます。鬼無里神社を過ぎて5分ほどで到着です。駐車スペースがないので、かなり先に車を置いて戻りました。道路脇の小高い所に公民館があり、その手前に植えられているしだれ桜はちょうど満開で、下から見ると覆いかぶさるようです。

桜の根本に向かう斜面には石仏が並ぶ

桜の根本に向かう斜面には石仏が並んでいます。桜の木と石仏の話を聞こうと近くに居たおばあちゃんに訪ねたのですが、高橋はここの地区名、公民館はお堂だったこと以外詳しいことはわかりませんでした。この先は郷土史家に聞いたほうがよさそうです。
おばあちゃんは「樹木医さんが太い幹を切ったので以前より花は淋しくなったけど、病気で枯れたらいけないから仕方ないね」と言っていました。

木製の案内板

木製の案内板はその時の幹で作ったそうです。案内板の裏には植樹は1615年、石仏の建立は1828年とありました。石仏ができたのは植樹から約200年後、里の人たちが桜の古木に願いを込めて石仏を建立したのでしょうか。「この石仏は歯が悪い時にお願いするといいみたいだよ」と手前の石仏を指さして教えてくれました。話を聞いて斜面を登り、写真を撮っていましたが、今日は里の春祭り、神楽の音、神輿を担ぐ掛け声が近づいてきます。先に止めた車が気になり、おばあちゃんにお礼を言ってしだれ桜を後にしました。

長野市鬼無里「高橋のしだれ桜」

 平地ではすっかり散ってしまった桜も山里の鬼無里では、ところどころで山桜も満開を迎え、新緑し始めた里の風景に融けこんでいます。一面に植えられた公園の桜もお祭り気分で楽しいですが、自然の中に咲く桜も風景に色を添えてまた別の美しさがあるようです。

 里を守るしだれ桜が満開になり雪深い鬼無里にもようやく春がきました。
「戸倉上山田から?暖かいところでいいね~」と、これはおばあちゃんの実感なのでしょう。