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山と水の国 北アルプスの麓「大町市の養魚場」

掲載日/2024年1月中旬

当館の会席料理のお造りには信州産の淡水魚が使われていますが、夏の主役が鮎なら冬から春の主役は何でしょうか。
夏の鮎ほど知られていませんが、これからの季節は清冽な水で育った岩魚の淡泊で上品な旨味も楽しみです。
長野県は海がないので魚の養殖は淡水魚になりますが、岩魚を含めたマス類の生産量は全国一位、二位は静岡県というデータがありました。両県、山葵の栽培も盛んなので綺麗な低水温の水に恵まれているということになります。

「鹿島槍ガーデン」の看板

 さて、今回は春先から料理に登場する岩魚の養魚場を訪ねる事にしました。場所は北アルプスの麓、大町市にある株式会社岩魚郷が経営する「鹿島槍ガーデン」です。
千曲市と大町市は地図の上から見ればそれほど距離がないですが最短距離で行くにはいくつも峠を越えなければなりません。楽な道となると長野自動車道の安曇野IC経由になりますが随分遠回りになります。この日は天気が良かったので、走ったことのない峠超えコースを選んでみました。想像以上に山道が長く、「雪があったら厳しいな」と今日の晴天に感謝しました。

養魚場

 峠を抜けてようやく大町市内に入ったところで、ナビを設定して北アルプス方向に向かいました。プレオープンした爺ヶ岳スキー場を過ぎてすぐのところに養魚場は見えてきました。
養魚池には管理釣り場が併設されていて、何人かの釣り人が竿を出しています。 ここはルアー釣り界では有名なフィッシングデモンストレーターが年に何度も取材に来る事でも知られているようです。 店内に入ってスタッフの方に事情をお話しすると、社長は不在でしたが案内はしていただけるとの事でお願いしました。

いけすの中を泳ぐ魚

 この養魚場の水は北アルプスの雪解け水を豊富に含んだ鹿島川から引いているのでミネラルが豊富、水温も年間通して15℃以下を保っているので岩魚養殖には非常に適しているそうです。水温が低く水質も良いので身が締まり臭みもないとの事でしたが、「天候の関係で今日は水が濁ってしまった」ということで、見学を目的にするにはこの日は少し残念な状況でした。ここは井戸水ではなく川の水を直に引いてるので仕方ないですね。

 水質についていえば、大町市がこの養魚場を紹介しているサイトに社長の話として「鹿島川は上流部に人家や耕作地がない事から、家庭用排水や窒素・リン酸・カリウムが混ざっていないのが特長」とありました。水質と場所が味の決め手のようです。
信州サーモンも養殖しており、安曇野にある池で大きくなるまで育てた後「鹿島槍ガーデン」の水で身を締めてから出荷しているそうです。

ブラウントラウト

 孵化場は雑菌が入るといけないので見学できませんでしたが、他は一通り見学させて頂き、管理釣り場の方へ行ってみました。
偶然、近くの釣り人の竿がしなり、大物を釣り上げたようなのでお願いして写真を撮らせてもらいました。「ニジマスですか」と聞けばブラウントラウトとの事でした。
ここの釣り場はアルプスも近いし、景色が良いので何度か来ても飽きないし、釣れなくてもストレス解消に良いと言っていました。釣った魚は食べても、とても美味しいと聞き、お墨付きをいただいたような気分になりました。

おすすめ商品

店内に戻って見学のお礼を言うと、自社の加工品についても紹介されました。すべて手造りで、中には生産量が少なくて現地に来て運が良ければ買える希少なものもあるそうです。好きな人は買い物だけでもいいかもしれませんね。

春になって雪解けの頃になったらまたのんびり来てみたいなと思いながら養魚場を後にしました。

山沿いの風景

山沿いの道を走って平地に出て振り返ると冠雪した山が見えてきました。山の名前はわかりませんが綺麗だったので車を停めました。 今回は撮影スポットへは行かなかったので、天気が良い日だったのに景色の写真はこの1枚で、ちょっと残念です。

作家、池内 紀氏の著書の中に穂高町(現在は安曇野市北西部)の川沿いを歩いた時の紀行文があり、その一節にこんな文がありました。

青空に冠雪の白さが際立った北アルプスの山々思い出して、なるほど「山国と水国ならではの養魚場」なのだなと思いました。


*画像出典:大町市運営サイト「水と人 おおまちの宝」より