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コミュニティーツーリズムへ「旧更級郡大岡村」

掲載日/2024年5月上旬

 北アルプスが一望できる景色の良い所として知られている長野市大岡地区は2005年までは更級郡大岡村で1998年の冬季長野オリンピックの開会式に登場した、しめ縄で作られた芦ノ尻道祖神で知名度が上がりました。
その大岡から「大岡ひなた福寿草まつり」というチラシが送られていました。
チラシに気が付いたのは3月も下旬でもう遅いかなとは思いましたが雪の北アルプスと黄色い花の景色が頭に浮かんで、とにかく行ってみることにしました。

雪の北アルプスと黄色い福寿草

福寿草まつりを主催しているのは大岡地区日方(ひなた)の「大岡ひなた福寿草保存会」で、会場までは車で40分くらい、当館から向かえば道祖神のある芦ノ尻からはだいぶ手前です。
会場案内に沿って県道12号から脇道に入ると視界が開けてきて北アルプスの大パノラマが出現、何度も来ている大岡でもこの景色は初めてで車を停めてしばらく見入ってしまいました。

駐車場には他にお客さんらしい車はありませんでしたが、協力金300円を箱に入れると係の人がすぐに声をかけてくれました。特にお願いはしなかったのですが他にお客さんが居なかったからなのか「こちらです」と付き添いで説明をしていただきました。

福寿草の芽

悪条件が重なり昨年から花の数が減ってしまったとの事、確かに “まつり” と言うには随分疎らな感じです。
福寿草は種を蒔いても発芽率は数パーセントと低く、花が咲くには5年は掛かるそうです。また、はっきり葉だと分かるまでにも3年は掛かるため、雑草と間違えて取ってしまう事もあるので気を遣うとのこと。ギザギザの葉を指さして「3年でやっとこれくらいですよ」と教えていただき、その小ささにびっくりしました。
福寿草の根には毒があるので動物に食べられる事は無いそうですが、「以前の様に一面黄色くなるのは何時になるのか」と元気が無さそうでした。

向かって左端に常念岳、右端は白馬乗鞍岳まで見える大パノラマ

少し落ちた空気を変えようと、「ここはアルプスの景色がすごいですね~」と言うと、テンションが変わって「ここは大岡でも一番いい場所ですよ!」とにっこり。確かに大岡で何度も北アルプスを見てきましたが、これほど広く見える場所に来たことはありませんでした。
向かって左端に常念岳、右端は白馬乗鞍岳まで見える大パノラマです。

最近はインターネットで調べて写真を撮りに来る外国人も増えてきたそうです。
昨年からダリア園も始めていて「アルプスが冠雪の頃はすごく綺麗ですよ」とスマホの画像を見せてくれました。 ダリアの鮮やかな色と冠雪のアルプスはとてもきれいで感心しているとダリアの畑を見に行きましょうと言って先を歩いていくので、とりあえず後を付いていきました。

ダリアの球根

球根を植える前の耕したばかりの畑で靴が泥だらけになってしまい、少し気になりましたが、あんまり熱心に話してくれるので中断することはできませんでした。
確かに、北アルプスが良く見えて花畑には絶好の場所。今年はダリア畑に行く道を新たに整備すると張り切っていました。最後に倉庫に案内され、これから植えるダリアの球根を見せてもらいました。 今年は300品種800株を植えるとのこと。ちなみにダリア園は奥さんがやっているそうです。

駐車場脇の小さな売店

駐車場脇にある小さな売店には地元の農産物や手作りこんにゃくなどが少しならんでいて、横にはチラシが置いてありました。チラシには「ひなたの四季」と題して3月から10月までのイベントの予定が書いてあります。意外に思ったのが昨年から始まった「大岡周遊eバイクサイクルガイドツアー」でした。
これは、大岡地区に電動アシスト自転車(eバイク)を常設して、ガイドと一緒に大岡地区を走り、途中の休憩では農家のお宅に伺って おやきや漬物などのおやつを頂きながら大岡に暮らす人達との会話を楽しむサイクリングツアーです。

北アルプスが見える山里のサイクリングを楽しみながら地域の皆さんとも交流できるので、最近注目の「コミュニティツーリズム」ってこういうことなのかなと思いました。

大岡地区は高いところでは海抜が900メートルで急な傾斜地に点々と集落があります。アクセスが良い場所ではなく、長野市に編入された事を考えれば過疎化がどんどん進んでいくのかなと思っていましたが、手をこまねいて見ているだけではなかったようです。
人口減少、高齢化が進む中でも新しい事業に取り組むのは次世代の為であり地域の今を大切に守るためなのだなと思いました。

「大岡ひなた福寿草まつり」の駐車場

HPに掲載する許可をいただくため、帰り際に笹屋ホテルの者ですと伝えると、「最近はメディア関係の人も来るのでてっきり」と苦笑い。「どうりでご丁寧な説明で」とこちらも内心苦笑いでしたが、おかげで福寿草の事がよくわかりました。
旅は現地で話を聞けるのが一番ですね。

お礼を言って駐車場を出ると畑の畔にはたくさんのふきのとう。
こちらも北アルプスを背に薄緑の花を咲かせていました。