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寒いからこそ美味しく、ありがたい 傍陽の凍み豆腐から

掲載日/2012年1月
真田町 傍陽

 厳寒の頃、豆腐を硬く水切りして屋外に干し、凍ったり、融けたりしながら水分が抜けて、カチカチになった豆腐を信州では凍み豆腐(しみとうふ)と呼びます。 高野山でも作られていたことから関西では高野豆腐、関東甲信越から北では凍り豆腐と呼ぶのが一般的で、今は特に珍しいものではありません。

 上田市街地から菅平方面への途中に真田氏発祥の地である真田町があります。 真田町に傍陽という地区があり、傍陽の凍み豆腐といえばちょっとしたブランドで千曲市でも年配の方ならだれでも知っているほど。寒さ本番の今頃、藁で結んで軒先に干されている凍み豆腐の光景を思い浮かべ訪ねてみました。

傍陽の凍み豆腐

 先ずは真田町農産物直売所で生産者を聞くことにしましたが「伝統的な作り方をしている家はもうないのでは」とのことで情報も得られず。せっかく来たので傍陽のある酒屋さんで聞くと偶然3軒先の家で作っているとのことで、さっそく訪ね、話を聞くことができました。
もう、昔ながらの製法で作っている家はここ1軒のみで、小売はせず、特定の行商の方に卸しているだけとか。

傍陽の凍み豆腐

 最初は夕方、豆腐の状態から干しますが、明け方に掛けて氷点下3度以下に冷え込まないと無添加なので駄目になってしまう、天気予報と夕方の空の状況で判断しているそうです。

天候に左右されない人工冷凍法はすでに明治36年には開発され製造コストの引き下げ、大量生産が可能になりましたが、以後も傍陽の伝統的な製法の凍み豆腐は人気があったのかもしれません。傍陽は周辺でもとりわけ冷え込みが強い為か、冬の副業として盛んになったそうです。「大変なので皆、辞めてしまったよ」とおかみさん。
無理を言って1連だけ分けてもらいました。信州には寒いからこそ美味しく、ありがたいものがある。確かに、と思いつつ傍陽の凍み豆腐、丁寧に持ち帰りました。

凍み豆腐(高野豆腐)は栄養価が高く、たんぱく質は豆腐の7倍、また、凍結する事でたんぱく質が変性しコレステロール値を抑制する働きがあるようです。