戸倉上山田温泉「笹屋ホテル」全室源泉100%の温泉宿戸倉上山田温泉「笹屋ホテル」全室源泉100%の温泉宿

るぽ信州るぽ信州

雪解けに紅葉を訪ねる

掲載日/2012年3月
平維茂が紅葉退治のため祈願所としたと伝えられる鬼無里神社

 春なのに紅葉?訪ねたのは、春でも雪が散見できる奥信濃の山里、戸隠や鬼無里に伝わる「鬼女紅葉伝説」です。能や謡曲に詳しい方なら、この伝説をもとに生まれた「紅葉狩」という演目をご存じかもしれません。
 平安時代末期、源経基の腰元となった紅葉は、妖術使いとして糾弾され、信州の山深い里に流されました。紅葉は里人のために、占いや祈祷をもって病を治し、高貴な女性として尊敬されるようになります。ところが、かつて暮らした都への思いがやまない紅葉は…
いつしか山中に篭り山賊を配下に村を襲い、軍資金を集め力ずくで都へ上ろうとします。その動きを知った天皇が鬼女退治の命を平維茂(たいら の これもち)に下し、ついに紅葉は鬼の形相を現し、打たれてしまうというお話。

都を偲ぶ地名の道路標示も…

 鬼がいなくなった里「鬼無里」に今も残る東京(ひがしきょう)、西京(にしきょう)、二条(にじょう)、四条(よじょう)、加茂(かも)といった地名は、当時紅葉を敬慕した村人たちが、紅葉に都を懐かしく偲んでもらおうと付けたと いわれています。さらに松巌寺には紅葉のお墓があり、鬼無里のご老人方は口々に「紅葉は鬼女ではなく貴女である」と主張します。

信州の伝説を訪ねる旅には、意外な発見や驚きがあります。有名な奥裾花渓谷や水芭蕉の観光がてら、いにしえの鬼無里へもタイムトリップしてみませんか。