

バラは「春バラ」「秋バラ」と年に2回の見頃を迎えますが、一般的には「春バラ」の方が花数も多くバラ園全体も華やかになることから5月の下旬頃には長野県でも各地でバラ祭りが開催されます。当館のお隣の町 埴科郡坂城町では、5月23日から6月7日まで今年で21回を数えるバラ祭りが開催されていました。
坂城町は千曲川両岸に位置する人口15,000人弱の小さな町ですが、戦後から工業が盛んで「モノづくりの町」と言われてきました。一方、花卉栽培は戦前からあり長野県のバラ栽培は昭和28年に坂城町から始まったという歴史があります。
バラ祭りの会場は2001年に開園した「さかき千曲川バラ公園」(以後バラ公園)で、バラのお世話をしているボランティア団体「薔薇人の会」の皆さんの手入れによって現在では330品種2300株が植えられています。
年々来場者も増えて盛大になってきたと聞いて花がピークのうちに訪ねてみました。
バラ公園は千曲川の堤防に沿って作られていて、駐車場は堤防道路から川側に下りたところにあります。駐車料金は協力金という形で500円でした。以前は300円だったと記憶していますがこれもご時世でしょうか。駐車場から開場へは川側の小路を歩いて行くことになりますが千曲川の畔にできた公園らしいアクセスかなと思いました。
土手を上がって受付で案内図を貰い、さっそく展望台に上ってみました。
何年かぶりに見たバラ園は植えられている面積が広がり、バラの株自体も随分大きくなっていました。以前は地元の特産物と飲み物程度を販売するテントしかなかった広場もキッチンカーが数台来ていて、ちょっと怒られそうですが以前に比べると大分お祭りっぽくなっていました。
バラ公園は、メインの「千曲川バラ園」の他「ウォーキング・ステーション」「オーナーバラ園」「イベント会場」のブロックに分かれます。
先ずはメインの「千曲川バラ園」に行ってみました。
バラ園に入ってみるとそれぞれのバラが随分背丈が伸びた感じがして、なんだかバラに囲まれて歩いているようです。
奥に「薔薇人の会」と書かれたテントがあり、ちょうど会長さんがいらしたので話を聞くことができました。
ここのバラ園には特徴があって、花を上から見下ろすのではなくバラの成長に合わせて高く剪定し見上げるバラに育てているとの事。ここは千曲川沿いで視界が広いので、バラを見上げると空や山が一緒に見えて自然との一体感が味わえるので場所にも恵まれているそうです。
本来バラは2mにも成長するので、上から見下ろすような低い位置に剪定するのはバラ本来の楽しみ方ではなく、高さが高くなると香りも感じやすいと言います。
また、同じ種類のバラを一つのブロックにまとめて栽培することにより他の種類のバラに目移りすることなくそれぞれのバラの良さや特徴をゆっくり楽しめるようにしているとの事でした。
それぞれのバラの株には専任のボランティアさんがいて、その人の感性で自由に剪定してもらっているで来場者が喜ぶ姿はボランティアの皆さんの励みにもなっているそうです。
色々話を聞かせていただいた後はお勧めの撮影スポットまで教えていただきました。
続いて「オーナーバラ園」へ行ってみました。
町内企業等23団体がオーナー資金提供だけでなく、自ら園(区画)を持ち「薔薇人の会」の特別会員となり維持管理作業を行う中でバラの知識や技術を習得するというものです。こちらも以前より随分広くなっていて通路も長くなっていました。
今回、全体を一周して改めて気が付いたのは、この公園は千曲川の土手の斜面をそのまま利用しているのと柵が無いので周りの景色と一体化した自由な空間を感じることができることです。「薔薇人の会」の会長さんが言って特徴を持ったバラ公園というのはこういう所にもあるのかなと思いました。
さて、堤防道路と国道18号線が交差するところには町の特徴をPRした広告塔がありそこには「日本刀とばらの町さかき」とあります。日本刀は人間国宝の刀匠が誕生した町で今も刀造りが継続しているからですが、バラ栽培についてはどうなのでしょうか。
「薔薇人の会」の会長さんが県内で初めてバラ栽培にガラスハウスを設置したのが坂城町だったとおっしゃっていた通り、ピークの頃は海外から視察に来るほどバラ栽培が盛んだったそうです。しかし、バブル崩壊により平成4年には価格が大暴落し以後急速に生産量は減少しています。
それでもバラの町と宣言しているのは、県内のバラ栽培を牽引して来たという歴史があるからで生産量は少なくなってもその歴史をバラ公園という形で継続している「今もバラの町」という意味のように思えました。
*訪問日 2026年5月28日